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2023/10/6 新着情報
【ドラフトへの軌跡2023】第8回 成田晴風(弘前工) 3年 投手

2023年7月17日 全国高校野球選手権青森大会 メイプルスタジアム
弘前工5-11八戸学院光星

 

成田晴風(弘前工) 3年 投手 185㎝81㎏ 右投右打

 


© 野球太郎

 全国のドラフト候補を追っていながら、密かな楽しみになっているのが行ったことのない地方球場を訪れることである。この夏もいくつか初訪問の球場があったが、その中で印象に残ったのが青森のメイプルスタジアムだ。前日は東京ドームで都市対抗の試合があり、東京を朝出発していては第1試合に間に合わないとのことで最終の新幹線で青森入り。しかし、その時間にはレンタカーを借りることができず、最寄り駅は無人駅で早朝のためタクシーも対応していない。結局向山駅から約1時間をかけて歩くことになったが、途中ですれ違ったのはランニング中の男性1人だけだった。


 前置きが長くなったが、そこまでしてプレーを見たかったのは弘前工のエース、成田晴風だ。去年の秋から評判を聞いていたが、春の県大会では初戦で早々に敗退。この試合は優勝候補の筆頭である八戸学院光星が相手とあって、公式戦で見られるのはこれが最後のチャンスという予感が強かったのだ。


 序盤は弘前工の打線が活発で2回までに2点をリードしたが、その裏に成田がつかまり4失点。4回には同じくドラフト候補に挙がる中沢恒貴(3年・遊撃手)にスリーランを浴びて突き放され、最終的には7回1/3を投げて11失点で負け投手となったが、それでも遠くまで来たことを後悔させないだけのポテンシャルは見せてくれた。まず目立つのがストレートの角度と“強さ”だ。この日の最速は筆者のスピードガンで146キロと、自己最速の150キロには届かなかったが、ミットを叩く音が強く、打者を差し込むシーンも多かった。フォームはまだステップが狭く、重心も高いように見えただけに、下半身がしっかり使えるようになれば、まだまだ球威がアップする可能性は高いだろう。事前にスカウトや関係者に聞いていた話では変化球が課題とのことだったが、カーブ、スライダー、カットボール、フォークと一通り投げ分けており、ボールの質は決して悪くなかった。このあたりも春から夏にかけて成長した部分と言えるだろう。


 県内での実績もほとんどなく、これまで報道も多くはないが、投手としてのスケールの大きさ、ポテンシャルの高さは今年の高校生の中でも上位であることは間違いない。ぜひ早くからプロでしっかり鍛えてもらいたい原石である。


西尾 典文 Norifumi NISHIO


1979年、愛知県生まれ。大学まで選手としてプレーした後、筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から技術解析などを テーマに野球専門誌に寄稿を開始。2017年からはスカイAのドラフト会議で解説を務め、2021年には仮想ドラフト会議にも出演。
アマチュア野球を中心に年間約300試合を取材する熱血スポーツライター。

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